LANS AFS受信機の開発に向けて、NT1066でSバンド信号の受信を試してみました。NT1066は、Lバンド対応の3チャンネルに加えて、独立したSバンドの受信チャンネルがあります。SバンドのI/Qサンプルのみを、PocketSDRのファームウェアを書き込んだFX2LPで、RAWデータとしてキャプチャしています。
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レジスタの設定で、Lバンドのチャンネルはすべてスリープさせ、Sバンドのみをアクティブにします。LPFのカットオフ周波数は3.1MHz、サンプリング周波数は10MHzです。
Sバンド用のRFポートには、bladeRFでGPS信号をSバンドで生成して入力しています。キャリアの中心周波数が異なるだけで、中身はGPS信号なので、問題なく信号捕捉ができました。
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しかし、いくつか不具合も発生。まず、I/QサンプルにDCオフセットが目立ちます。これは、NT1066のAGCの設定でどうにかなるかもしれません。
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不可解なのが、受信信号のスペクトラム。設定した3.1MHzのカットオフ周波数らしきものは見えるものの、完全に上下反転しています。こちらの原因は、いまのところまったく不明。どうしたら、こうなるのだろう?
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まだ微調整やデバッグが必要なものの、LANS AFS受信機開発の目途が立ったかな。フロントエンド基板を設計しよう。
P.S. NT1066でL/Sバンド両方に対応したフロントエンド基板をPocketSDR用に設計したいところだけれど、これを両立するのがちょっと難しい。
NT1066のLバンドのチャンネルは、ワイドバンドでGPS L1C/AとGLONASS L1などを、まとめて受信する設計思想になっている。そのため、LPFのカットオフ周波数はデフォルトで30MHz程度、最小でも13MHzまでしか絞れない。そのため、デフォルトのサンプリング周波数も72MHzとかなり高い。PocketSDRの処理負荷は、ほぼサンプリング周波数で決まるので、72MHzは高すぎ。
一方で、SバンドのチャンネルはLバンドとは独立してナローバンドで設計されている。それでも、LPFのカットオフ周波数は最小で3.1MHz。サンプリング周波数もTCXOの周波数までしか落とせない。
そうしたわけで、Sバンド専用であれば、PocketSDRをベースにリアルタイム処理ができそう。ちょっと自由度が少ないけれど、BPSK(5)のパイロットチャンネルを受信するには、丁度良いかもしれない。